人が眠くなるのには、2つの理由があります。ひとつ目は、日中動いて疲れたから。
ふたつ目は、体の中にある「体内時計」が、約24時間で「眠くなる/目が覚める」のリズムを刻んでいるからです。
体内時計は、ねむりのサイクルを作りだす自然のタイマー。そのリズムは「約24時間」ー 24時間より少し長めの周期です。
そのため、24時間で動く実際の生活とは少しズレが生じます。不規則な生活などによって、狂ってしまいやすいのも特徴です。
ですから私たちは、24時間の生活に合わせて、意識的に体内時計を整えていく必要があるのです。
私たちのひと晩のねむりには2つの種類があります。それは「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」。
ここでよくあるのが、「ノンレム睡眠=深い眠り、レム睡眠=浅い眠り」という誤解です。
この2つは、違った性質を持つ、どちらも必要な眠りです。その特徴を整理してみましょう。
体内時計は、睡眠だけでなく「体温」のリズムも作っています。体温の高低のリズムと、睡眠のリズムは連動しているのです。
起きている間の体温は高く、体温が下がるタイミングにあわせて、眠気が始まります。このときの特徴は、手足が「暖かくなる」こと。皮膚や体の末端から放熱することによって、体の中央部分の温度=「深部体温」が下がるのです。
寝る前は手足を暖かくして、深部体温をスムーズに下げることが必要。
それにより、眠りも訪れやすくなります。
体内時計は、ホルモン分泌のリズムも管理しています。
眠りに入ると「成長ホルモン」が分泌され、疲労回復・骨や筋肉や皮膚の再生のために働きます。このことから、「お肌を回復させるには、10時〜2時に眠っていないといけない」という説がありますが、これは間違い。成長ホルモンの分泌量は時刻とは関係ありません。
「寝入ったあとの3時間にぐっすり眠れているか」がポイントなのです。
私たちの体は、「光を浴びると目が覚める」ようにできています。
朝に光を浴びて夕方暗くなるとともに「メラトニン」というホルモンが分泌され、体温の低下と眠気を呼び寄せます。このとき、明る過ぎる環境にいると、メラトニンの分泌が抑えられ、眠気も遠くに行ってしまいます。
睡眠・体温・成長ホルモンにメラトニン。体内時計の働きによってこれらのリズムが刻まれます。
体温が下がれば、眠気が出てくる。深く寝入ったら、成長ホルモンがたっぷり出る。そして光を浴びると、眠りは去ってパッチリ目覚める。
このメカニズムを知って、規則正しいリズムを心がけ、「良いねむり&良い目覚め」を目指しましょう。
体内時計に基づくリズム(周期)は、実はひとつではありません。
1〜7のねむりの基本は約24時間の周期でうごくリズムですが、このほかに約12時間周期のリズムもあるといわれています。これが「昼間に眠くなる」作用を起こします。
ランチのあとの眠さは満腹のためではなく、このリズムが原因なのです。